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ペダルを踏んで風になる №5 [雑木林の四季]

輪行サイクリング(後編)

               サイクリスト・サイクルショップ「マングローブ」店主  高橋慎治  

今回の輪行サイクリングは、待ち合わせの出発駅からまずは東京駅を目指します。
いつもでしたら自転車の重さが気分の重さに比例して楽しい感情は湧いて来にくいのですが、今回は仕事用(競輪用)の自転車ではないことで、自転車が一緒でも気分的に違います。
やはり、遊びは楽しいものなんですね。

東京駅までの車窓は夕方の帰宅時間帯の後でもあって、まもなく夜の様相です。
下り列車はお仕事帰りの人達で混雑が見受けられますが、東京駅への上り列車は自転車の存在も気にならないほどのガラガラ具合です。

東京駅に着くと、それは昼間の活気が嘘のような静けさをまとった夜の顔です。
2人でお目当ての列車の待つホームに向かって大きく膨らんだ輪行袋を担いで階段を下りていきました。
深夜に近い時間もあってか東京駅までは乗客もガラガラの電車に揺られて行きましたから、乗り継ぎの鈍行列車も始発駅からですので座って寝ていけると思っていた私は、ホームへ着いてビックリしました!
なんと、夏休みの週末前とあってか昼間と変わらない列車待ちの人の数なのです。
当然、自由席車両への乗車ですから座席に座ることなど絶望的で、出発してから日付が変わってしばらくしても私は乗降を繰り返す人達の間で自転車を支えて居場所を確保するしかありませんでした。

そんな初体験の夜行列車も朝日の中、通勤時間帯のだいぶ前に終点の駅に到着しました。
もちろん睡眠は満足に確保出来ずにいましたから、後の行程を考えると些か不安でもありました。
列車を乗り換え、目的の終着駅へ向かう支線の列車内では本来車窓を満喫する予定でしたが、乗客の少なさと朝日の温もりとファジーな揺れによって往路列車旅終盤の記憶が喪失したのは言うまでもありません・・・

終着駅で車掌さんの声で現実に引き戻してもらい(笑)、駅舎の軒下で自転車を組み立てます。
ペダルやボトル等の忘れ物もなく、無事にいつもの自転車になりました。
さぁ、待望のサイクリングのスタートです!

距離を稼ぎ、標高を稼ぎ、デジカメなんかは一般的に無かった時代ですから景色は頭のメモリーにどんどん蓄え、旅の目的「路線の途切れてしまった区間を自転車で・・・」を遂行していきます。
そんなサイクリングの前半をのんびり楽しみ過ぎてしまったので、途中で時間調整のために輪行袋に自転車を詰め込んで列車に飛び乗りました。
実は、この路線こそ今回の旅の核心「廃線になってしまう路線」でした。
今はその列車が走っていないと思うと感慨深いものがあります。

列車では山間から市街地に近いところまで移動しました。
降り立った駅では同じく軒下で自転車を組み立てるのですが、街中の駅前ですから行き交う人々は自転車の組立に興味津々です。
再出発は交通量の多い市街地からになりますので先ずは安全第一の走行が肝心です。
道路交通法では全国一緒の考えでも交通法規の及ばない地域生活者特有のいわゆるローカル・ルールが実際に存在します。
場所によって自動車の運転でないと気付かないことや自転車の走行でないと分からないことがあります。
ですから、初めての土地では必ずおとなしく走ることを心掛けます。

進路は北へ、日本海へ向けて緩やかに標高を削いでいきます。
山間部から平野部へ差し掛かり、道幅に余裕のある道路が増えてきました。
それに比例して自動車の交通量も増え、大型トラックに邪魔にされたり、幹線道路では路線バスと競走したりして、北陸の終着地、金沢に無事にたどり着きました。

もちろん、帰路も「輪行」なので、市場で海産物のお土産(宅急便でも送れます)を買って、駅前の炉端焼居酒屋で反省会をしつつ、地元の海と山の幸を満喫しました。

さあ、そろそろ列車の出発時間も差し迫ってきましたので、駅で自転車も帰り支度です。
輪行袋に自転車を詰めるときはタイヤやブレーキ、フレーム等に異常がないか確認しながら作業していきます。
そうすることで次回のサイクリングにおいての大概のトラブルを未然に防ぐことが出来るのです。

自転車とお土産で余計に膨らんだ輪行袋を携えて帰りの列車の待っているホームに向かいました。
もちろん、列車内での2次会のビニール袋(仕込み)は忘れませんよ。
やはり帰路も楽しい輪行サイクリングなのです。
当然、帰路の列車が「ブルートレイン」だったのは、もちろん私が譲らなかったからですが・・・。

皆さんも機会があったら「輪行サイクリング」してみて下さい。
たとえトラブルがあっても、それはそれで良い思い出になりますよ。

ツール缶】
今回は工具、自転車の分解や調整に必用な工具についてです。
とは言っても、ツール缶の内容ですので【携帯工具】に関してお話します。
自転車専門店では携帯工具は必ず手にとって見ることが出来ます。
その多くがアーミーナイフのような一つの持ち手に収まっている「多徳タイプ」の携帯工具です。
pedaru5-1-2.jpg

そして私も使っているのが「ラチェットハンドルタイプ」の携帯工具です。

pedaru5-2.jpg


こちらは使用状態が非常にスリムでショップツールと遜色ない使用感です。
どちらも一長一短がありますので、吟味されたら決心して使ってみてください。
工具は携帯工具でも実際に現場で使えなければ意味がありませんので、書き込み等は気になさらずに自分の自転車でキッチリ使えるものを見つけて下さい。
私の経験でよろしければアドバイス致します。


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