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雑記帳2017-2-15 [代表・玲子の雑記帳]

2017-2-15
一昨年に続いて、2度目の高田瞽女ツアーに参加しました。

瞽女体験ツアーは文化庁の助成を受けて、「高田瞽女の文化を保存・発信する会」などが企画した事業で、数年前から実施されているものです。
室町時代から続いた瞽女の歴史は昭和52年にとだえます。
たまたま、企画者の一人、ゆうえんの斎藤弘美さんと知り合いだったことから、誘われて参加するようになりました。

今年は冬の上越が舞台です。
雪を想定してブーツを新調してのぞみました。
残念ながら、今年は雪が少なく、新調したブーツは役立たずに終わりました。

高田駅に集合して先ず向かったのは瞽女ゆかりの曹洞宗点林寺。芸能の守護神、弁財天を祀り、旅廻りをして芸を磨いてきた瞽女たちは毎年、5月13日の「妙音講」に集いました。ちょうどボタンの季節で、瞽女はボタンの匂いで寺を思ったということです。

上杉謙信が戦勝祈願をした寺だったことでもわかるように、弁財天は実は戦の神様でもあります。
天林寺の本尊の弁財天は年一度の御開帳のときだけしかみられませんが、剣を持った姿でえがかれています。

天林寺弁財天.jpg

                   住職によく似たちょっとメタボの弁財天

高田は軍隊の街、料亭文化が花ひらきました。
明治時代から続く老舗の料亭「長養館」は、師団の軍医だった森鴎外もたびたび訪れたとか。築100年を超える、黒板塀の美しい数寄屋の建物は、建築当時の姿を留めて改修されています。
豪雪の高田では、庭の木々は雪吊りでは間に合わず、雪囲いが施されています。

長養館膳2.jpg

        日本海の海の幸いっぱいの会席膳。壱の膳の左上は珍しいサメのぬた。

長養館雪囲い2.jpg

                              雪囲い 

北国街道筋にある、町屋を利用した交流館「高田小町」では、この日、瞽女の門付け風景を再現するイベント「あわゆき道中」が行われました。ツアーの私たちも、雪国の女性用防寒具「角巻」をきて、雁木の通りを散策しました。
雁木は日本海側の豪雪地に見られた屋根付きの歩航路で(公道ではなく私有地です)、各地で消えていく姿を高田は今も残していて、その長さは16キロにも及びます。

あわゆき道中2.jpg
 瞽女さんにふんしての「あわゆき道中」
雁木.jpg

                                雁木 

宿泊先の温泉「くわどり湯ったり村」は、海沿いの国道8号線(加賀街道)から桑取川沿いに山道を登った、桑取谷の行き止まりにありました。上越市から建物を借りる形で第三セクターが運営しています。従業員はみな、村の住民、過疎の村にあって、250円の日帰り入浴も人気です。薄味の夕食は、長養館に負けないおいしさでした。

湯ったり村夕食.jpg

                             「湯ったり村」夕食 

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      「湯ったり村」付近の民家。かやぶきではなくなっても屋根の形は残している。 

夕食前、宿の近くの古民家で、長岡瞽女最後の親方、小林ハルさんの孫弟子という、横川恵子さんの瞽女歌の演奏会がありました。
門付け歌の後の一番の演目は「葛の葉子別れ」。
おなじみの最後の場面、「恋しくば 訪ね来てみよ 和泉なる 信田の森の 恨み葛の葉」まで、40分以上もの長い段ものです。通しで演奏する機会もめったにないということでした。(瞽女でさえ、一人ではなく3人で語り継いだというほどのものです。)
そして、高田瞽女と長岡瞽女では節回しも微妙にちがうのだということでした。

ゆったりの家.jpg

      雪に埋もれた「ゆったりの家」。いろいろなイベントが開催される地域の集会所。

横川恵子さん.jpg

                             横川恵子さん  

翌日、幼いころ、瞽女さんが村をたずねてきたことをおぼえているという、お年寄りの話を聞きました。
昭和16年生まれの曽我さんの家は「酒屋」の家号を持つ村有数の瞽女宿でした。
春と秋、瞽女さんがいくつもの谷をこえて村里にやってくる、娯楽の少ない時代に瞽女の訪れは子供心にも待ち遠しい、嬉しい出来事だったのでした。瞽女宿では家族同様に彼女たちをむかえたということです。

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                      車座になって蘇我さんの話を聞く。

桑取谷では、旧暦の小正月に、五穀豊穣を願って、集落の若者や子供たちが馬に扮し、各戸をまわって、家々の茶の間で馬をまねて飛び跳ねる、「馬」という珍しい行事がありました。過疎化が進み、昭和53年にとだえていたものを、全国でも珍しいこの行事を次世代に継承したいと、地元有志の手で平成10年に復活させました。
昨夜の古民家「ゆったりの家」で、「馬」を見学しました。

根曲がり竹を使って畳を掃く「田ならし」のまねごとのあと、馬に扮した青年が「ヒヒーン」と馬の鳴き声をあげながら客間に飛び込んできて、囲炉裏の3つの角で3回ずつとびはねる、それを3周という、体力の要る行事です。子供の馬、成年の大馬も登場します。
馬が元気に飛び跳ねてホコリが立てばたつほどその年は豊作になると言われています。

馬田ならし.jpg

                               田ならし

今、全国で地域おこしが叫ばれています。
上越市はそのさきがけのような土地なのだそうです。
市は、集落ごとに取り組んできた課題を、合併後も無くさないように応援していると聞きました。
この日、「馬」を見物に全国から大勢の観光客がつめかけていました。
集落に唯一つある中学校では総合学習として学校あげてこの行事に参加していました。
全校生徒23名が馬に扮して飛び跳ねました。

見物客に「馬」の説明をし、伝統行事を進行したのは、東京出身で村の青年と結婚した若い女性でした。
そして、隣村の土口(どぐち)では、都会からやって来た若者たちが一人暮らしのお年寄りを見守るケア事業を運営しているのを、たまたまこの朝のNHKTV『小さな旅』で紹介していました。
瞽女を受け入れてきたこの谷は、人を呼ぶ魅力をもっているのだと、「高田瞽女の文化を保存・発信する会」の関さんは話していました。

旅の最後は再び高田に戻って一昨年誕生した「瞽女ミュージアム」です。
瞽女を描いた画家、斎藤真一の作品を瞽女関連の資料とともに展示しています。

斎藤真一の絵は、彼のシンボルの色である「赫」が見る者を魅了します。
それは、盲目の瞽女が視力を失う前の眼に焼きついた、幼いころに見た太陽の色であり、彼がヨーロッパを放浪中に見たアンダルシアのジプシーの衣の色だといいます。
多くの戦友の死を目にし、戦後ひきあげてきて何を描けばいいのか思い悩んでいた斎藤に「日本を描きなさい」と勧めたのは藤田嗣治でした。
中世の色濃く残るヨーロッパの田舎を旅し、東北の祭りに日本を探すうち、高田瞽女最後の親方杉本キクイさんを知ったことで、瞽女の生き方に深い感銘をうけたのでした。

ミュージアム誕生のきっかけとなったのは斎藤氏一のコレクター、池田敏章さんが140点にあまる斎藤の作品を瞽女のふるさと、高田に寄贈したことです。
今回の旅にも池田さんは同行していましたが、いまや、斎藤真一研究家としてファンにはカリスマ的存在になっているようでした。それでも、2022年の斎藤真一生誕100年までにやるべきことのリストのなかに、『知の木々舎』を忘れてはいないと、元自衛官の池田さんは何処までも律儀でした。

◆2月も半ば、梅の花が見ごろです。いつも通う学習館の近くに幹は桜で花は梅の木があると話題になっていました。よくみると、桜の幹の割れた間から梅がのびているのです。そろそろ花粉の飛ぶ季節です。

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池田敏章

横幕玲子さんのツアー参加報告を、楽しく、また、嬉しく拝読しました。そして、本日(2.20)「高田瞽女の文化を保存・発信する会」事務局から、桑取ゆったりの家での「瞽女文化体験ツアー」参加者・ゲスト・スタッフ総勢35名による集合写真が届きました。写真を見ながら、私がお話しした斎藤真一画伯の事や瞽女さんの事を聞いていただきました方々との”ひと時”を思い出しています。特に若い男女お二人の方の真剣さが印象に残っています。何の予備知識もない様でしたが、この体験ツアー参加で得た(と思いますが)事がきっと大いなる心の糧となると信じているのです。
「知の木々舎」への私の執筆寄稿は、今少しお待ち下さい。
斎藤真一画伯の事を、作品や執筆文で多くの方々に知っていただくためには、是非にも利用させていただきたいサイトなのですから。
by 池田敏章 (2017-02-20 15:12) 

ゆう・えんLLC 斎藤弘美

2回目のご参加、そしてブログへのアップ、ありがとうございました。瞽女の門付け再現では、高田の街には雪がなくて残念でしたが、桑取では雪国の生活が垣間見られてよかったですね。これからも瞽女文化の発信をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。【ゆう・えん】のHPでも、ブログのご紹介をさせていただきますね!
by ゆう・えんLLC 斎藤弘美 (2017-03-05 23:09) 

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