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往復書簡・記憶へ架ける橋 №22 [核無き世界をめざして]

岡村 幸宣さま

                                       舞踏家  和泉 舞

 31日は岡村さん並びに横幕さん、関さんご来場頂き誠にありがとうございました。

 翌日、後片づけを終え、公演後通例の温泉へ出かけ、疲れを癒しにゆっくりして来ました。

 毎年思うことなのですが、公演を支えて下さるスタッフは本当によく働いて頂き頭が下がります。今年は特に、私が指示したことだけではなく、細やかな配慮をしてくれました。素晴らしい自慢のスタッフ陣です。

 当日は皆疲れているので、打ち上げは日を改め感謝会と銘々し、我が家にて私の手料理を囲みながら行います。

 その際、次回の公演をよりよく円滑にするために、反省点を上げ話し合います。その積み重ねがお客様への自主的な配慮へと繋がったのだとしみじみ感じる裏方でした。そのようなスタッフに恵まれた私は本当に幸せ者だと思っております。

 特に照明・音響は、1秒単位の指示を出す私に、リハーサルから神経がすり減る・頭から火が噴くとグチをこぼしますが、より良き公演のため真摯に(真剣という言葉では足りません)に取り組んでくれます。

 それは私がどれだけこのテーマを大切にしているかを知っており、常に被爆者やそのご遺族に対し軽率であってはならないと口にしているからでしょう。

 舞台は一人では成り立ちません。支えてくれるこのようなスタッフがいるからこそ、踊りに集中することができるわけです。よい環境を整えて頂き、感謝しております。

 さらに、昨年もご一緒した三味線の松本優子さんに加え、松本さんの知人である琵琶奏者の西坂由起子さんが加わり、お二人の素晴らしいプロフェッショナルな演奏とともに踊らせて頂けたこと。真に嬉しく思います。  お二人ともスケジュール過密な中、稽古時間を割いて下さり、お手合わせする時間が少ないにも関わらず、公演でのあの素晴らしい演奏。お客様からも素晴らしい演奏だったと好評でした。

 琵琶とともに朗読した詩は一番初めは丸木さんの「原子野」に添えた詩ですが、その後の詩は私が創作したものです。それが、なかなか浮かばず詩が全て完成したのが8月中旬。それから西坂さんが作曲してぎりぎりの仕上がり。

 実は西坂さんは私の踊りを一度も見たことはありません。(DVDを見てをもらいましたが)

 26日から詰めて稽古、創作。29日会場の勝楽寺をお借りしてライティング決めのときに残りの1曲のアウトラインがなんとか出来ていたという状況でした。

 ですから通し稽古が私自身も出来ていない。こんなすれすれの状況は初めてであり、半ば大丈夫か?!不安に駆られ寝付けませんでした。

 本番当日の31日。昼間の通し稽古で、生演奏と関わりのないシーンを、演奏者お二人は初めて御覧になり全体像を把握した次第です。

 公演でのあの素晴らしい出だしの琵琶と朗読で「原子野」の場が舞台に展開され、私はその場に足を踏み出すことができました。

 それは登場しやすいだけではなく、原子野の恐ろしい静けさがありました。

 舞踏は8ビートのカウントで動く踊りではありません。一応、音入り終わりのきっかけはありますが、演奏者は私の微細な動きを感覚で掴み取り、演奏の入り終わりを紡がねばなりません。

 実はお客様にはわからないハプニングがありました。

 松本さんが幕間にフルートで演奏することになっていたのは「上を向いて歩こう」でした。

 しかし、公演中にフルートの調子が悪くなり音がでなかったのです。後でバネが外れていたと判明しましたが……。原子野の風景が蘇ってくるような尺八の音色。そういえば第七部は「竹やぶ」。次回作を予兆するハプニングでした。

 今回の公演では流木を舞台美術として使用しました。皆さんからこれはどこから持ってきたの?と聞かれました。入手したのは何年も前、いつか美術に使えるだろうと、長瀞ダムから無料で頂いたものです。受け取り期間はあるのですが、誰でも欲しければもらえます。今でもやっているかは不明ですが……。 それが自宅の玄関辺りにごろごろと置きっぱなしにしておりましたので、土や蟻が巣くいきれいにするまでに数日かかりました。

 猛暑の中ひたすらヤスリかけ、削りかすが飛ぶのでマスクをかけ、日焼けよけに長袖のを羽織り、汗だくになりながら一人で作業。

 表舞台中央に鎮座していた流木だけでなく、障子裏にも流木を使用しました。途方に暮れる量です。軍手をしているにも関わらず指の皮が剥けたりしつつ、舞台にあげる状態になりました。

 障子裏の流木のオブジェを照らす豆電球2つにより、あのような揺らぐ影が照らし出され、想像していたよりも数段良い演出効果となりました。汗だくの日々が報われた瞬間でした。

 スタッフ一同怪我なく無事に終え、好評であったこと。嬉しい感想の数々。次回ご紹介したいと思います。

 会場まで足をお運び頂いたお客様、誠にありがとうございました。


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