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私の中の一期一会 №140 [雑木林の四季]

      森友学園問題でよく使われた言葉、「忖度」(そんたく)について考えてみた
~安倍首相は「財務省近畿財務局の忖度はあったと認めるのが一番」と松井大阪府知事~

                           アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 日本維新の会代表・松井一郎大阪府知事が報道陣の取材に対し、森友学園への国有地売却に関する“安倍晋三首相の対応を批判した”と26日の日刊スポーツ社会・芸能面が報じていた。
 25日に都内で開かれた党大会の後、「火に油を注いだのは皮肉にも安倍総理だ。財務省近畿財務局の忖度があったとハッキリ認めるべきだ」と松井知事が発言したというのである。
 松井大阪府知事は橋本徹前大阪市長と共に、安倍晋三首相と近い関係にあると言われている人だけに、“何を思って”安倍批判ともとれる発言をしたのかに、私は興味を抱いた。
 23日の証人喚問で、籠池泰典氏から「梯子を外された」と悪者扱いされた松井知事は、森友問題の本質を分からなくしているのは「忖度はない」と強弁し過ぎる総理自身にあると主張している。
新聞によれば、松井知事は“森友学園の籠池氏が安倍首相や昭惠夫人の名前を使って、財務省と国有地の売買交渉をした”と考えているのだ。
 なぜ手続きがスピーディに進んだのか?を考える時、昭惠夫人の存在を省く訳にいかない。
 「神風が吹いた・・」と籠池氏も驚くような便宜が図られたとしたら、それは首相の知らないところで財務省近畿財務局の  「忖度」が行われたからだ・・松井知事はそう考えていると思われる。
 首相も“そういう忖度はあり得る”と丁寧に説明すれば、国民も納得するだろう。“全く忖度はない”と強弁するからこういうことになる・・・という論法である。
 松井知事の持論は、忖度にも「良い忖度」と「悪い忖度」があって、「今回は、財務省職員が忖度してサービス精神旺盛な対応をした。でも違法性はない。だから“悪い忖度”ではない」というものなのだ。
 言われてみれば、そうかも知れないが、今更「忖度があった」なんて首相が言ったら大変なことになるだけではないのか。
 私は、忖度に「良い、悪い」があるとは知らなかったので、この機会に“忖度ってどういうものか”を考えてみたいと思った。
 三省堂国語辞典の編集委員で日本語学者の飯岡浩明さんによれば、従来は“母の心を忖度する”とか、“彼の行動の意図を忖度する”のように使われていて、単純に「相手の心を推し量る」場合などに普通に使われていた。だがここ何十年かの間に“忖度”の用法が変わってきていると指摘している。
 最近では、“上役などの意向を推し量る”場合に使うことが多くなった。おべっか、へつらい、上位者に気に入られようとして・・など上役の意向を推察するようなときに使われるようになった。
 “上役の意向を忖度する”意味で使われると、普通に使われていた“忖度”という言葉が“汚れてしまった”感じがすると嘆いている。
 辞書の“忖度”を説明するページに、「役人が政治家の考えを忖度する場合などに使う・・」というような例文を入れる必要があるかも知れないとさえ口にしているのだ。
 “忖度”という言葉が汚れて、“良くないこと”のように使われている現状では、“良い忖度”があると言うのは無理かもしれないと私は思った。
 辞書には、忖度と同じような表現に“斟酌”(しんしゃく)という言葉も載っていて、こちらも「相手の事情や心情をくみとる」時に使われるとあった。
 “単純に相手の心情を推し量る”のが「忖度」で、心情を推し量ったうえで、“それを汲み取って何らかの処置をする”のが「斟酌」だというのだ。
 「何らかの処置・・」イコール「手心を加える・・」としている辞書もあって、“忖度”と“斟酌”では、使い方が違うようである。日本語の難しいところだ。
 籠池氏が外国特派員協会で講演した時、この「忖度」という日本語が外国人記者になかなか理解されず、通訳が苦労したという話しもあった。
 云々を“でんでん”と読んだ安倍首相には、“忖度”を(そんたく)と読めたかどうか、という心配もあったりして・・・
 面白かったのは、元東京地検特捜部の検事だった郷原信郎氏の『官僚の世界における“忖度”について』という3月26日のブログである。
 23年間、検察という官僚組織にいた経験から「確かに言えること」として書かれている。
 ほとんど引用になってしまうが、紹介してみたい。
 郷原信郎氏に言わせれば、“忖度”という言葉は“典型的な官僚世界の用語”だという。
 組織の上位者の意向を、指示や命令を受けることなく推察して、その“上位者の意向に沿うよう行動する”のが「忖度」である。
 他人には分からないように行うのがミソで、“忖度”はされる側には分からないことが多い。
分かるようなものは“忖度”とは呼ばない。直接確認したり、指示・命令に従うのであれば“忖度”する必要が生じないからだ。
 「直接、意向を確認しにくい内容」の案件や「確認し指示を仰ぐと差し障りが生じる事柄」のような時、「忖度」が行われる。
 しかし忖度した人に「忖度したでしょう?」と聞いても、「しました」と肯定する人はあまりいないという。
 官僚の世界では、忖度の習性を身につけ、それを確実に行える人物が“能力の高い官僚”と評価される。
 いちいち上役の意向を確認しなければ対応できないような人間は無能とみなされるそうだ。
 郷原氏は、国会で「忖度した事実はない」と答弁する首相は、官僚の世界における忖度の意味を理解しているとは思えないと書いている。
 忖度することは、官僚にとって特別なことではない。違法・不当な行為は、後にそれが指摘されれば処分につながるので、通常は意図的に違法・不当な行為は行わない。
 だから、“忖度があったのか”とか、“忖度がどの程度影響したのか”を解明しようとしても、ほとんど無理だろうと述べている。
 官僚の世界は終身雇用制で、年功序列が維持されるピラミッド型の組織である。おまけに内閣人事局に各省庁の幹部人事が握られている。
 政治の世界も国会は与党が圧倒的多数で、その与党内も小選挙区制のため、公認候補の決定権を持つ党幹部に権力が集中している。こうした状況は最も忖度が働きやすい構図なのだと指摘している。
 郷原信郎氏は、森友学園の土地売却を巡る問題がここまで深刻化したのは、国有地売却の経過や交渉についての財務省の文書・記録が「廃棄した」とされたからだとみている。
 情報の隠蔽で、権力が忖度の実態を覆い隠しているように見えることが問題だという訳だ。
 森友への国有地払下げや小学校認可に「自分も妻も一切関与していない。もしそんなことがあったら首相どころか国会 議員も辞める」と啖呵を切った手前、安倍首相は「忖度」も「寄付も」あったなんて言える訳がない。
 籠池泰典という人物は、証人喚問ぐらいで降参するようなタマではなかった。
 偽証罪に問われるかも知れない場で、『昭惠夫人が「安倍晋三からです」といって100万円を寄付してくれた』という具体的で強烈な爆弾を投げつけたのだ。一気に安倍一強は大ピンチに陥ってしまった。
同点の9回裏、2死満塁3ボール、2ストライク、次の1球を投げ間違えると、試合に負ける・・のような状況に似ているかも知れない。
 大誤算の自民党は29日、籠池氏は“偽証の疑い濃厚だ”として告発の検討を始めたようだが、昭惠夫人の「寄付はしていない」だって疑おうと思えば疑える。どちらかがウソを言っているのは確実だからだ。
 今回は異例のスピードで国有地の払い下げが行われたことが分かっている。だが財務省にその時の交渉経過の記録や決済書類が残っていないというのは、どう考えても怪しい。
 安倍一強政治の弊害が、森友学園問題で、“忖度”という具体的な形で表れてきたとみる識者もいる。
 メディアやジャーナリストに疑惑を解明する責任があると言われるが、マスコミの世界も忖度と無縁ではないのは悲しい現実である。国会のゴタゴタは、まだまだ当分続くだろう。
 “政権投げだし?” まさかと思うが、安倍首相には「投げ出しの過去」があるからなあ・・


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笠井康宏

藤田さん、おはようございます。森友学園問題が益々目が離せなくなって来ましたね。無責任男の籠池氏がわざわざ偽証罪に問われるようなことを自らするとは思えません。昭恵氏が胡散臭いと私は思いますがね。安倍首相が正当防衛を投げ出してくれた方が世のため人のためだと思います。昭恵氏の証人喚問を早急にやるべきです。
by 笠井康宏 (2017-04-01 02:22) 

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