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猿若句会秀句選 №85 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集  85 (2018年5月26日)

                     猿若句会会亭  中村 信

海蘿掻く安寿は母を慕ひつつ   丸本 武
大仏の顔なで下ろす青嵐   内野和也
縁側の小のりの皿に猫の舌   花柳小春
踊場でしばし五月を愛でにけり   原 健一
ソーダ水かすかに聞こゆ小さき音   伊藤 理

◆猿若句会五月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。
[短評]  [海蘿掻く安寿は母を慕ひつつ 武] この句意をまとめるのは難しそうなので、難読季語でも超がつきそうな「海蘿」の解説から先にいきます。「ふのり」と読み「布海苔」とその元となる海藻のことです。ところが布海苔ももしかしたら絶滅季語の候補に入っているかもしれません。要は「布海苔」をつくる海藻が「海蘿」であり、海蘿を採取するのが「海蘿掻く」であり、採取した海藻を保存のために干すのが「海蘿干す」で、「」のいずれも季語(三夏・植物)です。これ以上詳しく解説するのは本末転倒になりそうなので止めます。歳時記または国語辞典で独習してください。さて、掲出句の句意をまとめるのに挑戦です。「海蘿を掻いて(いるのを見て)いると、母を慕いつつ訊ね歩いたあの安寿と厨子王の物語を思い出してしまう。森鴎外の小説『山椒大夫』の世界が身近かに感じてくる」と深読みしました。上五の「海蘿掻く」の意は解かりました。それが続く中七・下五の意とどう響きあっているかが今ひとつ解りにくいようです。森鴎外が小説『山椒大夫』に著す前も、もともとは説教節で語られていたので安寿と厨子王とその母の関係は巷間にもよく知られていました。小説化以降も溝口健二が]映画化、さらには昭和51年にはNHKが少年ドラマシリーズで放映するにおよんで粗筋は多くの人々に知られました。母を恋慕い安寿が唄う歌のせつなさと日本海の海辺の暗いイメージとが中七・下五です。いずれも想像の世界でしたので現実観に乏しく、両者のイメージが重なりにくかったのは否めません。
 超難読季語・絶滅候補季語の「海蘿(布海苔も可)」は実は当日の席題だったのです。席題候補になった時も、この場で作句するにはあまりにも難しすぎるのとの声も多かったのですが、席亭の「たまには難しい季語にも勉強のため挑戦してみよう」の一言で席題に決まった経緯があります。即興作句の場で「海蘿」から「山椒大夫」を思い出し連想を拡げたのは大手柄とみて、甘い点を入れたのをお赦しください。
◆句会での特選以外の秀作・佳作については中村信のホームページ《あ》[ http://saruwakakukai.web.fc2.com]をご覧ください。(ただし、該当欄が一時的に更新不能のため、同「掲示板」投稿欄にて代替しています)


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