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日めくり汀女俳句Ⅱ №11 [ことだま五七五]

一月三十日~一月三十一日

         俳句  中村汀女・文  中村一枝

 一月三十日
寒灯や夜をいよいよの湯のあふれ
              「山粧ふ」 寒灯=冬
 なみなみと湯をたたえた浴槽に身体を沈めた時の満足感、湯舟の端から湯がこぼれていって、大げさに言って王侯気分というのも、満更ではない。風呂というのは、底の方に三十センチたまった湯につかっても決して気分のいいものではない。概して水は多目多目に使った方が気持ちがいい。しかし、節水の立場から言えばそういう水の使い方は一番ムダである。わが家の水道使用量、人数に比して決して少なくない。限りある水を大切に、などという言葉に突き当るとあっ、いけないと思うのだ。水に渇した事のない人間には本当の意味での水の尊さは中々わからない。

一月三十一日
ながれゆく水草もあり冬日暮る
               『春雪』 冬日=冬
「モーパッサンの小説に『水の上』ってあったじゃない。あれ、私好きだった」
 汀女が遠くを見つめるまなざしで言ったことがある。汀女にとって水の上に帰ることはまさに故郷にもどることだったのだ。
 塘(とも・堤)にはいつも父、平四郎専用の釣り舟がつながれていた。最初は舟べりに小さい胸をつけて水中をのぞいた。そのうち平四郎が釣り竿に餌をつけてくれた。「シャンコ、引いてるぞ」引きあげる糸の先には小さいたなごが引っかかった。その日から釣りは汀女の生涯の友となる。

『日めくり汀女俳句』  邑書林


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