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猿若句会秀句選 №86 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集  86 (2018年6月16日)

                       猿若句会会亭  仲村 信

 癌転移夫には告げず夜半の夏   児玉竹子
 禁酒すぐ反古となりけり初鰹   高橋 均
 虫干しの服にバブルを偲びけり   中村克久
 麨に噎せて其処此処白くする   宮島久代
 夏の蝶求む花なく移り去る      柴田弘道
 風呂に入れ猫が嫌がる蚤退治   伊藤 理
 箱庭に妻の所望の茶室など     丸本 武

◆猿若句会六月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。
[短評]  [癌転移夫には告げず夜半の夏 竹子] 非常に重いテーマの句です。実は席題の「移」の作品として出句されたものなので驚きました。作品論の前に、「癌の告知」の問題がひとしきり話題になりました。句評に入る前間にもう一つ躓きました。癌が転移したのは作者なのか作者の夫なのかどちらともとれます。十七音の制約で省略されています。現代の医学では本人に告知されるので「現在」の話ではないだろうとなり、さらに句の構文から考えると作句者が夫に癌の転移を告げられずいるとするのが自然だということになり作品論に戻りました。多少措辞に難点があるかもしれないが季語も効いているし、こうした難しいテーマを良く表現していると称賛の声もありました。合評が終わった後で、<二十年ほど前の事実であり、当時、告知しないままで良いのかと息子さんと二人で日夜悩んだ>そうです。これを聞いて季語「夜半の夏」の適切さをさらに感じました。「短夜」に親子で話し合っているうちに夜が更けてきたというニュアンスを感じました。ところが、最近の歳時記には「夜半の春」「夜半の秋」はあるが「夏」は無いことが判明しました。歳時記万能主義にとらわれていると使えないことになってしまいます。古い歳時記に載っている「夜半の夏」の意と少し変わっているかもしれませんが、この季語をこうして使うことには賛成です。人はそれぞれに悩む問題の大小・軽重の差はあれど自分なりに重いテーマを抱えているものです。客観化できる問題ではありませんので、どう表現するかは人によって異なります。ある意味、表現意欲の基礎となるものとも言えるでしょう
 個人的な考えですが、俳句のテーマを広げることには大賛成です。花鳥諷詠・客観写生だけでなく(今回の場合とは逆ですが)季語・歳時記に縛られてテーマを拘束することには反対です。ただ、俳句表現(口語表現、無季容認、自由律)となると問題が大きすぎますので、ここではとりあげません。
◆句会での特選以外の秀作・佳作については中村信のホームページ《あ》[ http://saruwakakukai.web.fc2.com]をご覧ください。(ただし、該当欄が一時的に更新不能のため、同「掲示板」投稿欄にて代替しています)


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