So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

往きは良い良い、帰りは……物語 №63 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語
その63 TCCクラブハウスに於ける 第9回
 「寒露(かんろ)」「鵙(百舌・もず)」「案山子(かかし)」「菊枕(きくまくら)」

                コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆平成30年8月29日◆◆
当番幹事(舞蹴氏と茘子さん)から案内状が届きました。
63-9.jpg
上記の文面は、次のとおりです。

* * * * * * * * * * * * * * ** * * * * * * * * * * * * * ** * * * * * * * * *
こふみ会 ご案内
残暑お見舞い申し上げます。
重陽の節句、9月9日の句会のお知らせです。
今回お弁当はちょっと趣向を変えロケ弁にしました。
皆様のお気に召すとよろしいのですが。
ご返事9月1日までに、茘子まで必ずお送りくださいませ。
お弁当の購入がありますので。
FAX=03ー△△△△ー△△△△
TCC高橋様、お部屋の予約をお願いします。
兼題=寒露・鵙(もず)
場所・時間=9月9日 第二日曜 13時から 於TCC
会費=千五百円   千円の賞品お忘れなく。
当番幹事  舞蹴・茘子
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ** * * * * * * * * *

これに応じた軒外氏の返信。毎回のこと、イラストが実に素晴らしい!
63-12.jpg

一方、孝多は、山と渓谷社『日本の野鳥』の中からモズのイラストを写して、返信レターにして居りました。こちらはモノクロ。
63-11.jpg

◆◆さて、当日、最も嬉しかったのは……◆◆
その1=半紙4枚が張り出されると同時に、幹事さんから、懇切、丁寧に、下記のような詠題の解説書きが配られたこと。

63-2.jpg

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
寒露(兼題)
二十四期の一つ黄経195度の日であり、陽暦十月八・九日頃。改正月令博物誌によると「この月冷寒次第につのり、露凝んで霜とならんとするゆえ、寒露と名ずく」とある。少しひんやりと感じ始め、すべてのものが透明度を増す。晴れあがった日などでも、すでに暑いとは思わなくなり万事過ごしやすい候。

鵙(兼題))
秋に原野や人家付近に独棲し、木の枝にとまって尾を上下に動かしながら、キーイッ、キーイッ、キイキイキイと鋭い声で鳴く。その鳴き声が引きしまるように澄んだ秋の大気と通じるので、鵙日和、鵙の晴れなどと用いている。羽色は、頭は栗色、背は灰色、翼は黒褐色で、翼の中央に一つの白斑がある。小鳥ながら肉食貪欲である。「百舌鳥」「伯労鳥」とも書く。

菊枕(席題)
菊の花を摘んで陰干しにして乾かし、それを詰めて枕にしたもの。
菊の露を飲んで不老不死になったという伝説が中国にあり、菊枕は邪気をはらい、頭、目を清くするというので、老寿の人が愛用したという。九月九日の重陽に花を摘むのが良いとされる。

案山子(席題)
農作物の鳥獣害を避ける手段で、三通りある。
一、田の神を迎えて豊饒を祈り、また害を避けようとする方法で、神の依代の人形や神札を田畑に立てたり、注連(しめ)を張ったりする。二、襤褸(らんる・ぼろ)・頭髪・獣肉・肴の頭など、悪臭のあるものを焼いて串に挟んだり、注連に下げたりする。三、物音を立てたり、鳥獣を吊るし下げて恐れさせる方法。
竹や藁(わら)などで人形を作り、蓑笠などを着せ、弓矢を持たせたりして一本足の棒で、田畑の畦に立てる。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

嬉しかったこと、その2=過日届いた、虚視氏からのメール提言を受けて、矢太氏が皆さんに説明して、今回より≪各自が天に選んだ理由を口頭発表すること≫になりました。それが予想以上にスムーズに、誠意をもって行われた嬉しさ。爽やかさ。(その余波で、無得点の句に関する言明にも耳目が集中し始めました。)

嬉しかったこと、その3=次回10月の句会は「鎌倉への吟行」に決定したこと。鎌倉在住の軒外氏が友人、久保田潤氏と禅や仏を描く≪2人展≫を開きなさる。それを見学したあと里見弴ゆかりの席にて句会。兼題の一つは「多情多恨」に因んで「情」ということに相成りました。パチパチパチッ! 発起人(幹事)は鬼禿氏と一遅氏。ああ、今から楽しみ、楽しみ。発起人さん、御苦労さま!!

63-10.jpg

◆◆教えてもらいました、「ロケ弁」のこと◆◆
8月29日付けのFAXで頂いた9月の句会の案内状にも記してあった美味しい「ロケ弁」。

63-3.jpg

何も知らない私・孝多は「ロケ弁って、駅弁のことかな?」くらいに思って、けろりと食べてしまいました。
しかし、帰宅途中の電車の中で、何だか、気になり始めました。そこで翌日、幹事さんだった茘子さんにFAXでおたずねしました。「教えてくださ~い。ロケ弁って駅弁の別称ですか~?」
お答えは違いますって。ああ、たずねて、良かった、良かった。
ご多忙のところ、茘子さんにはご迷惑だったでしょうに、FAXにて親切に教えてくださいました。有難うございました。ロケのためスタジオで食べる弁当のこと、なのですね。分かりました。
しかし、しかし、隔世の感アリでした。今は、スタジオにロケーション・マネージャー用の「弁当の案内パンフレット(カタログ)」が何通も置いてある。それを見て頼むと持って来てもらえる。電話一本! 缶詰め状態になっているのですから、待ってましたとばかり、みんなで飲食する……のだそうですね。初めて知りました。
映像処理にも音響処理にもコンピューターが介在するのが当たり前という時代になったからでしょうね。
ムカシはどうだったのですか?との茘子さんからのご質問にお答えすべく、ここに記述いたせば……
ムカシはスタジオは神聖な場所、大切な写真を撮(と)る、音を録(と)る。そのための、身の引きしまる場。とても、とても、飲食どころではありませんでした。
では、当時の、スタッフ(ロケ隊)はどこで食事をしたか? 国民休暇村、宿泊できる海の家、山の家、民宿、有名ホテルの別館……などでした。
時には撮影機材やモデルの衣裳や被写体となる製品などを積んで移動するためのクルマを活用して、若いスタッフが、町まで買い出しに行って来たりしたものです。そのクルマは、モデルやスタイリストやヘア・メイクの人達がひと休みする場にもなっていました。

◆◆さあて、さて、さて、本日の成績発表で~す。◆◆

63-8.jpg
左から地の舞蹴、人の孝多、虚視、天の矢太の各氏。(撮影=軒外氏)

◆トータルの天は~43点の矢太氏。
代表句「鵙鳴けば どこぞの小さき 骨の鳴る」パチパチパチッ。

◆トータルの地は~42点の舞蹴氏!
代表句「仕上げたる 手に香の残る 菊枕」 パチパチパチッ。

◆トータルの人は~共に27点の虚視氏と孝多!
虚視・代表句「寒露降(お)り 白明(しらあけ)の野 静まれり」パチパチパチッ。
孝多・代表句「人は下に 高々と鳴く 鵙の天」パチパチパチッ。

◆トータルの次点は~21点の鬼禿氏!
代表句「あのTシャツを 案山子に着せる 一周忌」パチパチパチッ。

63-7.jpg

皆さん、おめでとうございました。恒例となった絵付き短冊12枚。多士多彩。おかげさまで、今回もいい句会でした。
いつものように、本日の全句を、下記のとおりご紹介します。じっくりご覧ください。
ご意見、ご感想も承りたく存じます。ではまた。次回は、そうでした。鎌倉吟行! 楽しみですねえ。皆さん、どうぞ、お元気に。またお会いしましょう。草々 孝多                   (第63話 完)

======================================
第585回 こふみ会・全句
平成30年9月9日    於TCCクラブハウス(第9回)

◆兼題=寒露     順不同
目を閉じる 寒露の音なき 音を聞く         矢太
寒露降(お)り 白明(しらあけ)の野 静まれり     虚視
ヘリ数機 向かう地に幸 野は寒露                  紅螺
アリと同じ 病ひと友云ふ 寒露の日                美留
待たれるは 暑気一掃の 寒露かな                  孝多
寒露の候 月がますます うまそうに                 軒外
何ひとつ 誇るものなし 寒露かな                   舞蹴
脱ぎ捨てられし 夏着の褪せて 寒露かな           弥生
雨戸開け 裾前揃える 寒露かな                    珍椿
即ミスト化 二十一世紀の 寒露                     鬼禿
寒露踏む 湿原の空に 朝の星                      一遅
うたかたの 季節空行く 野は寒露                   茘子

◆兼題=鵙      順不同
空冴えて 背中(せな)押す寒気 鵙の声            茘子
生も死も 一回きりと 鵙が鳴く                       舞蹴
人は下に 高々と鳴く 鵙の天                        孝多
青々と まだ生きており 鵙の贄(にえ))             鬼禿
鵙鳴きて 北の大地の 震へけり                     美留
堕落して 地獄に落ちて 鵙の声                     紅螺
はやにえを 見る高鳴きを聞く 鵙を見ず             軒外
巡回の 医師帰り窓に 鵙啼く                        一遅
日暮れて 木梢の先に 百舌鳥一匹                   珍椿
鵙鳴けり 青硝子の天 砕けよと                      虚視
鵙鳴けば どこぞの小さき 骨の鳴る                  矢太
ひきちぎられし カナリアの首 鵙猛(たけ)る        弥生

◆席題=案山子      順不同
振りむけば 笑い声して 案山子ひとり                舞蹴
高き声す 幼な児案山子を 真似ており               紅螺
あのTシャツを 案山子に着せる 一周忌             鬼禿
畑あらし IT案山子が 不審番                        珍椿
無残やな 嵐のあとの 捨て案山子                   弥生
ゴム銃の 的は本家の 田の案山子                   矢太
海老蔵で 睨みきかせる 案山子かな                 美留
子ら走り 黄金の防人 案山子立つ                   一遅
アロハ着て 男はつらいね 案山子殿                  茘子
大地裂け 立つことならず 地に案山子                虚視
とんびは雲を呼び 案山子は風を追う                  軒外
人は去る 案山子は残る 風が吹く                    孝多

◆席題=菊枕        順不同
臨終の 君にあたえし 菊枕                           珍椿
一周忌 母の香かすかに 菊枕                        一遅
幽玄へ 我を誘(いざな)へ 菊枕                     美留
今宵(よい)こそ 異床同夢ね 菊枕                   茘子
仕上げたる 手に香の残る 菊枕                    舞蹴
若き日の 夫の夢見る 菊枕                           矢太
菊枕に 一筋残りし 白髪かな                         鬼禿
病む母や 菊の枕も 間に合はず                      弥生
夫婦<めおと)には あらず手縫いの 菊枕            孝多
酔ったまま 死にたしと思う 菊枕                     紅螺
まどろめば つかのまの死 菊枕                      虚視
菊枕の いい匂いッたら ありゃしません              軒外

                                      以上 12名48句

nice!(1)  コメント(1) 

nice! 1

コメント 1

水野タケシ

孝多先生、今月も楽しいリポートありがとうございます!!

10月の鎌倉銀行のご報告も今から楽しみにしています!!

秋晴れになりますように!!


いってらっしゃ~ぃ(*・∀-*)ノシ
by 水野タケシ (2018-10-01 09:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。