So-net無料ブログ作成

雑記帳2018-10-15 [代表・玲子の雑記帳]

2018-10-15
◆「雑木林には神様がいる」!

所属する団体で、この春「暮らしの中の漢方」というテーマで学習会をしたところ、予想以上の反響で、人気が高かったことから、その続きとして、秋に、都立薬用植物園の見学を企画しました。講師は春にお願いした生薬協会の山上勉さんが務めてくださいました。

温室.jpg
園内には立派な温室もある。

急に気温のさがった9月26日、20人の参加です。

小平市にある薬用植物園は9,500坪。植物園としては規模は小さいほうです。
小石川植物園ははその5倍、調布の神代植物園は16倍もあります。
規模としては小さいけれど 栽培されている植物は1,600~1,700種もあり、種の数としては相当なものです。
漢方植物、山野草、雑木林のゾーンに別れ、雑木林は3分の1を占めます。

山上さんの説明を聞きながら園内を歩いて、ごく身近にある樹木や草が漢方の材料になることを学びました。そのうちの幾つかをご紹介しましょう。

先ず目についたのは桜の木。樹皮は桜皮と呼ばれせきとめに効きます。
次ぎに山上さんが是非と言って案内してくれたのがオタネニンジン(朝鮮ニンジン)のコーナーでした。
原産地は北朝鮮のペクトゥ山。
江戸時代、病気の親の薬代にと身を売った娘たちを詠んだ川柳があります。「大病に女衒のみゆる気の毒さ」
この高価な朝鮮ニンジンに関心をもったのが8代将軍徳川吉宗で、全国に忍びを送って調査させた記録が「野州日光見聞録」として、今も残っています。 
由来は吉宗自ら種をうえたことから、この名がつきました。
直射日光や風をきらう、連作ができない(土地がやせるので収穫後7年は作付けできないと言われます)など、栽培は難しく、今でも高価です。

薬用植物は様々な部位が生薬になり、部位によって呼び名も変わります。
たとえば、葛の根は葛根(カッコン)、葛の花は葛花(カッカ)のように。
すいかずらの花は金銀花、葉は忍冬と呼ばれます。
漢方薬の中でも最もよく利用されているマメ科の甘草は根が使われます。
リュウカクサン、カッコントウ、トンプクなど、ツムラの生薬127種のうち95種までカンゾウが使われているのだそうです。取り過ぎると低カリウム欠症になるので、トンプクなどの服用には時間をあけるなどの注意が必要です。
ちなみにノカンゾウ、ヤブカンゾウといった野草のカンゾウはユリ科で、全く別の種類です。

カンゾウ.jpg
根がこんがらがるので筒の中で栽培されています。

秋の七草のうち、はぎ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ、クズの5種は生薬になります。例えばキキョウ湯はのどの痛みに効きます。

クズ.jpg
クズ(風邪や胃腸炎に)
ハギ3.jpg
ハギ(根はめまい、のぼせに効く)
おみなえし.jpg
オミナエシ(解熱、解毒作用があるといわれる)
フジバカマ2.jpg
フジバカマ(利尿作用がある)
トウガン.jpg
トウガン(薬用部位は種。利尿、消炎、排膿など)
ヘビウリ.jpg
ヘビのような形をしたヘビウリ(かっては実のエキスをしもやけ等に使った。食べられます)

この植物園で一押しはケシ・アサ栽培区でしょうか。
ケシはモルヒネなどのアヘンアルカロイドを含み、鎮痛、鎮咳薬等の製造原料となります。
アヘン法により栽培は禁止されているため、数か所の防犯カメラに二重の囲いという厳重な警戒ぶりです。
10月に播種し、5月開花のケシ畑は、ゴールデンウィークには2,000人以上の来場者で賑わうそうです。
ケシを栽培しているのは全国に、ここと、四国の牧野記念植物園のみです。

ケシ畑.jpg
厳重な金網の向こうにケシ・アサ試験区

新薬は単一成分なので合成できるため、新しいものがでるとどんどんとって代わられます。一方、多成分系の生薬は合成ではできないため、寿命は長く、葛根湯は1500年も飲まれています。

薬用部位が根の場合は摘芯、摘花を行って、花を咲かせないようにします。
植物は花だけがすべてではないのです。終わってもすてきなものはたくさんあります。たとえば、シモバシラ。秋の花がおわって、枯れた茎に冬、氷の結晶がついて美しい霜柱になります。花がすべてではないのは人も同じですね。

シモバシラ.jpg
山野草コーナーに咲き残っていたシモバシラの花

最後に、「神様に会いに行きましょう」と、案内されたのはクヌギとコナラの雑木林です。
キンラン、ギンランなどの希少種も見られる林の中で、山上さんはある年、カタクリの群生する場所が変わっているのにきづきました。
だれの仕業か。・・・蟻です。
かたくりにはわずかだがエライオソウムという甘い物質があり、それを蟻が好む。→エライオソウムはわずかなので、種が残る。→蟻はそれを自分の巣から別の所に運ぶ というわけです。
このことは、実は、同じ場所に長い間同じものを育てると土地がやせてしまう、連作障害を防いでいるのです。
「ゴミになった種を巣からはこびだすのって、蟻の本能じゃないですか。」
「そう言ってはあまりにも夢がない。蟻を使って連作障害を避ける自然の摂理を作ったのは神様しかできないではありませんか。私は毎日神様に会いにここに来ているのです。」素敵な山上さんの言葉でした。


雑木林.jpg
薬用植物園の雑木林

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。