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ロシア~アネクドートで笑う歴史 №93 [文芸美術の森]

金持ちロシア人を嗤う 4

                  早稲田大学名誉教授  川崎 浹

乱脈経営の反映  
 私はつぎの作品で、内務省軍が交通取り締まりに関係していることを知った。以前は専らガイーという交通警察だった。

 内務省軍の警備隊がロシア人たちの乗っているベンツをとめた。
 「身分証明を見せてください」
 「どうぞ」
 「どうして、みんなこんなに汚れているのですか」
 「悪党連中が点検して、手でさわり、それでこんなに汚れているんですよ」

 「悪党連中」とはアモンの警備隊を指している。アモンと新ロシア人はどうやら宿縁の敵手らしい。

 内務省軍の警備隊がベンツを止め、書類を点検しはじめた。ベンツの運転手がいった。 「すぐに検査をたのむ。あとからあんたの同僚が追ってきているのでね」

 新ロシア人の「悪行」ぶりを裏から衝いたアネクドートがある。

 弁護士が新ロシア人の「するりと逃げやすい」事件で勝訴した。喜んだ弁護士は自分の依頼者に「真実が勝てり」と電報を送った。すると直ちに返事があった。「控訴を頼む」

 新ロシア人は自分の側に「真実」があるとは夢にも思っていないので、ただちに控訴を依頼したのである。同様の「悪行」についての作品をあげよう。

 ロシア人が自宅に二〇〇〇万ドルの火災保険をかけて、保険代理人にたずねた。「もし今晩、自宅が焼けたらいくらくれる?」
 「五年です」

 もちろん五年の懲役刑をくらうという答である。今度は新ロシア人が銃砲店にきてピストルを買おうとしている。

 「どんなタイプをお望みですか?」
 「正確なことは知らないけど……人間五、六人タイプね」

 五、六人は殺せるピストルが欲しいといっているのだ。つぎのアネクドート先述のMMM投資信託のような経営の乱脈ぶりを映しだしている。

 久しぶりに会ったふたりのロシア人が「ベラルーシ」で食事をした。
 「グリーシャ、調子はどうだ」とひとりが尋ねる。
 「もう五回も破産宣告をしたよ」
 「それがどうした?」
 「もしこんな調子でいったら、六回目にはほんとに破産してしまうよ」
 銀行から会社に電話があった。
 「私どもはあなたにクレジットを返済してくださるよう一二回目の予告をさせていただきます。一三度目は予告しませんから」
 これにたいし会社側は答えた。
 「わかりました。ただそんな迷信は信じないでください。一三の数字が不幸とか、そんなことはありませんよ」
 「もし一〇〇万ドル手に入ったらどうしますか」
 「借金に支払いたい」
 「残りはどうします」
 「残りは待ちますよ」

 新ロシア人が巨額の借金を抱えこんでいることを暗示している。

『ロシアのユーモア』 講談社選書

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