So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

往きは良い良い、帰りは……物語 №64 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語
その64 特別企画【鎌倉吟行】
  テーマ・ワード=「情」と「父」各1句
  ほか2句=嘱目

                コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆平成30年9月25日◆◆
当番幹事(大谷鬼禿氏&森田一遅氏)より下掲のような案内状が届きました。

64-15.jpg

* * * * * ** * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
極暑の夏もようよう納まり、彼岸花咲く秋と成りました。
そこで、「十月こふみ会」は。いつもの青山を出て、秋の鎌倉へ吟行いたします。
折しも、本会員の沼田軒外さんの2人展【禅・仏・頂相】の最終日と重なり、小町通りの画廊に立ち寄り、八幡宮参拝のあと、境内を抜け、会場の旧里見弴邸へ向います。
昨日、幹事は会場の当邸を下見してきました。
何分、昭和元年築のモダン建築ですから、正直いって、古く、いたみも有るのですが、鎌倉の素顔ということで、お頼みしてきました。
いつもとは一味違った句会として、【鎌倉吟行】ふるってご参加ください。
●期日=10月8日(月・祝)体育の日
●集合=午前11時・鎌倉駅東口改札
●会費=1,500円(他に景品3個。なるべく食もの)
●兼題=二題「情」「父」
(今回の兼題は季語ではありません。作句の場合、題の一文字のほかに季語をいれてください。席題は集合時に出します。)
★出席なさる方は即刻ご連絡ください。遅くとも9月中にお願いします。
 連絡集計は森田一遅
  アドレス=mrthjm@globe.onc.ne.jp
  モバイル=090-4129-0195
 〒118-0021 
 東京都文京区本駒込2丁目28-1 B-1505
  森田一(もりたはじめ)

★2人展の会場は、鎌倉市小町2-8-35 GALLERY 一翠堂
★句会会場は鎌倉市西御門1-19-3 TEL=0467-23-7437 石川邸(旧里見弴邸)
★幹事=大谷鬼禿・森田一遅
* * * * * ** * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

◆◆これを受けて私・孝多は……◆◆
ふっと思い出しました。中村草田男の句です。
『父となりしか 蜥蜴とともに 立ち止る』
これだな! 草田男は「父」を入れ、更に季語「蜥蜴(夏)」を使って作句している……。
でも、それを書いたのでは、つまらないし、幹事でもないのに、例句を挙げたようになってしまって僭越。
ではどうするか? 少々考えた後に決めました。「父」という漢字の古書体をテーマにしたビジュアルの返信レターにしたらいい。そうしよう!!
そこで下載、ご覧のとおりの返信レターです。(FAXなので一遅氏へ、ではなく鬼禿氏へ、送りました。)

「父」の古書体を、平凡社・白川静著の『常用字解』から採って拡大したものです。
『常用字解』によれば、もともと「父」は斧(おの)の頭部(刀のところ)を手に捧げ持っている様子を示すもので、家族の精神的中軸であり、決裁し指導する立場にある人のこと。
この斧はそういう立場の「父」だけに許されている特別厳かな儀式を行なうときのための道具(木を伐るのとは違う。)ですって。
その「父」の字が甲骨以来、時代によってカタチを変え、レターに示した篆(てん)文のあと、隷書(れいしょ)、楷書、行書、草書と続いて、今日に至っているという次第です。でも、はて、さて、21世紀に於ける日本の「父」の像は……?? 指導的立場?? 斧を持っている??

64-16.jpg

文面は下記のとおりです。
* * * * * ** * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
こふみ会
10月当番幹事
大谷鬼禿様                                                   
森田一遅様

ご案内 有難うございました。
10月8日の特別企画「鎌倉吟行」に参加・出席致します。
兼題は二題、「情」と「父」ですね。それに季語を添えて5.7.5にまとめること。承知しました。
軒外さんの展覧会見学も、大きな楽しみ。いろいろご苦労さまですが、よろしくお願い申しあげます。
当日が、待ち遠しい思いです。 草々  孝多
平成30年9月27日
(当日は、特別予算も用意しておきます。)
* * * * * ** * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

◆◆そして当日はどんな風だったか……◆◆
10月8日の、グループとしての行動を、まとめて述べれば、ざっと下記のように相成ります。(天気にも恵まれ、良かったあ。)
◆先ずは11:00 JR鎌倉駅・東口に集合。
◆次ぎに(歩いて)市内・小町2丁目の「2人展」会場へ。
じっくりと作品を見せて頂いた後、こふみ会からのお祝金(金一封)を孝多から軒外氏へ。パチパチパチッ!
軒外氏からは返礼として全員に『沼田博美2019カレンダー鎌倉禅刹の仏像』と題する7枚もののカレンダーを1冊ずつ頂戴。パチパチパチッ!
「私たちは自己の様々な情感を仏像に投影するのである。」と軒外氏はカレンダーの言葉書きに記されましたが、全く同感。良い展覧会を体験しました。


64-17.jpg

久保田潤氏にも『禅・頂相・暦』と題する8枚もののカレンダーの作品があり、これはサービス値段で各人が自由購入。
会場では軒外氏の奥さま(絵本作家)のお出迎えも頂き、棚に置かれた数冊の著書も拝見。優しい言葉の宝庫でした。

◆次ぎに(また歩いて)鶴岡八幡宮へ参詣。
石段を上る、その左側に、実朝を討つべく公暁が隠れていた大銀杏。先年それが割れて倒れて、今はその切り株に伸び始めたひこばえ(孫生え)に人々の期待が寄せられているとのこと。八百年の歴史を持つ古木の若葉です。
頼朝の前で「しずやしず、しずのおだまき、くりかえし……」と、静御前が歌って舞った若宮堂も境内に。その朱塗りが痛々しくも、あわれ。
更に、矢印の示す方向へ歩めば頼朝の墓。

◆次ぎにまた、山里といった感のある小道を曲がり曲がり、歩いて歩いて、句会の会場、旧里見弴邸、通称・西御門 (にしみかど)サローネへ。(写真)

64-9.jpg
64-7.jpg

古い、しかも、あちこち、きしんだりしている和室が私たちを待っていました。大きな窓ガラスはムカシのものですから、かすかに表面が波打っていて、外が、ひずんで見えるところがあります。
しかし、しかし、確かに、手のこんだ造りです。一部は堂々たる茅葺(かやぶき)です。

64-11.jpg
64-12.jpg

◆そこに弁当(名物・鰺の押寿し)が運ばれ、酒は裏霞。
句会は順調に進み、席題は嘱目2題、計4句投句と、いつもと同様。
コピー機も幹事が下見しておいたとおり、1階の奥にあって、良かった良かった。

◆ところが、軒外氏はケータイで呼び出され、急用のため、投句しただけで、選句はせずに途中退席して展覧会の会場へ。
あとから幹事が資料一式を届けて、選句や短冊や景品などの受け渡しは、次回、11月の句会にて、ということになりました。
これは、微笑ましい、不思議な手順。こふみ会史上初のことです。パチパチパチッ。

◆ですから、この席での成績発表は、暫定的なものと相成りまする。でも、1位は1位、2位は2位……。
発表しま~す。

◆本日のトータルの天は28点の鬼禿氏。パチパチパチッ。
代表句=幽霊も 居ない邸(やしき)の 熟し柿

◆トータルの地は27点の美留さん。パチパチパチッ。
代表句=金木犀 かほりて古井戸 朽ちるのみ

◆トータルの人は25点の矢太氏。パチパチパチッ。
代表句=天高し 玉子食ふ父 無口なる

◆トータルの次点は23点の紅螺さん。パチパチパチッ。
代表句=秋麗(あきうらら) 弓射る人の 古装束

64-10.jpg
向かって左から次点の紅螺さん、番外つまり、等外の孝多、人の矢太氏、天の鬼禿氏、地の美留さん。
孝多は次次点(次点の次ぎ)なのですが、まわりから「こっち、こっち」と手招きされて、つい、顔を出してしまいました。恐縮です。

皆さん、おめでとうございました。パチパチパチッ。

64-13.jpg
旅先にてもカラフルです。

◆◆句会がお開きになると……◆◆
またまた、みんなで、歩いて、再び、「2人展」のギャラリーへ。
そこで幹事が資料を軒外氏に手渡しました。こうして、来月、11月の句会にてデータが揃うわけです。奥さまは、一同に、お茶をいれて下さったりして、お心遣い頂きました。

64-18.jpg

そして結局は、また歩いて、自由参加の二次会へ。余韻の集い。一遅、鬼禿、珍椿、軒外、紅螺、孝多の6名。こじんまりした、ペスカバという店。和食と、イタリアン料理と、ワインが売り物という変わったところ。
予約してない客が、丁寧に、断られて去っていくという一場面もありました。

◆◆始まりました。我ら6名の闊達な飲・食・談。◆◆
先ずは幹事の鬼禿氏による挨拶と語り……。
「幽霊も 居ない邸の 熟し柿」 氏の作品ですが、鎌倉にはもったいないようなことがごろごろしてる・・・…。旧里見邸のような古くて、由緒正しくて、今は無人の家屋、建造物が沢山あり、それを管理・保全するための鎌倉市の予算も馬鹿にならない。そのため、民間に管理をゆだねている物件も少なくない。里見邸もそのひとつ。「石川邸」という表札もかかっていたけれど、それは現在、不動産会社の社長さん、石川さんが管理者となっているから、とのこと。
しかし、万全が期されているとは限らない。どうすれば良いか??
保全と活用が大きな課題。
一同、ほほ~っと頷きつつも、交通の便が問題。鎌倉の国際的観光地化による治安維持や自然災害などへの対策も必要……、と、さまざまな意見が交わされました。

◆国際化といえば、俳句の国際化はどうなのか? 英語ハイクはどこまで俳句なのか、歳時記はどこまで通用するのか?

◆そうだよね、「季語は日本人にとっても、困った問題だよね。」 どうしてビールも鮨も夏のものと決めつけるの? 何故、鮪(まぐろ)も塩鮭も冬のものなの? どの歳時記にも、そう出てるけど……。「昔は昔、今は今」じゃないか。

◆有季定形と自由律の問題もあるし……。

◆その前に、皆さん、どうしてるの? ひとつの兼題に、2句、3句…と出来てしまったとき、どれを投句するか、迷ったことない?
あるよ、ある! そして、出してダメだったとき、がっかりするね。あとで。くやむね。こっちを出しとけば良かったのに……。

◆でも、でも、仕方がないですよね、得点は、選句用コピーに、自分の句と一緒に並んで載っている、他の人の句に引っ張られるとか、掻きまわされるとか、影響されることも、まま、あるしね。

◆そうだねえ。むずかしい。

●やがて残念。鎌倉から遠くまで、各自、乗り換えなしで帰れる列車の最終は、割りと早いので……已む無く散会です。
当番幹事さん、ご苦労さまでした。有難うございました。愉快だったあ。また企画してくださ~い……と、お頼みごとばかり。  草々     孝多
               平成30年10月11日

≪追伸≫私・孝多が紅螺さんから頂いた短冊が紛失しました。ペスカバの店でもそんなことを言って、皆さんにご心配をおかけしたのでしたが、「発見」されました。当日、短冊撮影の後、私が間違えて、珍椿氏の大きな袋の中に仕舞い込んでしまったのでした。翌日、氏からお電話頂き、それが判明したという次第。珍椿さん、失礼しました。有難うございました。皆さん、お騒がせしてすみませんでした。短冊は11月の句会の席に持って来て頂くことになって居ります。
                                                               (以上)

===================================

      第586回 こふみ会・全句
    平成30年10月8日   於 鎌倉・旧里見邸(西御門サローネ)
                     
◆兼題=「情」プラス季語    順不同
曼珠沙華(まんじゅしゃげ) たった一夜の 情に咲く  軒外
桐一葉 君の情けに 泪滲ませ                           珍椿
守られて 情を交(かわ)せし 栗と毬(いが)             虚視
情死の家に 珈琲待てば 木の実降る                    弥生
情深き 猫膝に来る 秋思かな                             美留
情とは 別れを包む 虫しぐれ                              鬼禿
秋時雨 低く歌うは 佐渡情話                              紅螺
鎌倉や 情知らずの 鰯雲                                  矢太
情は降る 金木犀の 香となりて                           一遅
賜わりし  情けの言葉 偲ぶ秋                             孝多

◆兼題=「父」プラス季語     順不同
天高し 玉子喰ふ父 無口なる                              矢太
秋袷 アサヒジャーナル ひらく父                           紅螺
父の背に 膏薬を貼る 菊日和                              珍椿
秋の宵(よい) 父の遺(のこ)せし 聖書繰(く)る        虚視
新走り 酌む父の顔 艶めいて                              美留
中折帽の 父が来さうな 秋の暮                            弥生
あの頃の 父は父時に天敵 今は石                      鬼禿
父の遺品 受け取った日の 彼岸花                        一遅
父方の 血(ち)で呑(の)ん兵衛(べえ)で 秋祭り       孝多
金木犀 香れば父の 命日近く                              軒外

◆席題=嘱目(一)        順不同
幽霊も 居ない邸(やしき)の 熟し柿                       鬼禿
五体投地 して何祈る こぼれ萩                            弥生
古戦場 右に眺めつ 波に乗る                              軒外
古都の秋 見知らぬ言葉 飛び交いて                      虚視
秋麗や 少女剣士の 面の声                            美留
銀杏舞い 公暁の太刀の すさまじき                       一遅
矢印や 頼朝の墓へ 枯葉舞う                              孝多
秋の庭 いろはにほへと 散る葉かな                       矢太
秋麗(あきうらら) 弓射る人の 古装束                     紅螺
赤蜻蛉 参道脇に じっとして                                珍椿

席題=嘱目(二)     順不同
金木犀 かほりて古井戸 朽ちるのみ                      美留
晴着の子 山に抱かれて 古都の秋                       虚視
古寺の 山門近く あけびもぐ                                軒外
郁子(むべ)三つ ギャラリーにあり 水彩展                紅螺
秋深し 路肩の花に 心うばわれ                            珍椿
参道に 古看板競う 秋の風                                 一遅
ドミソラソ 校庭に秋 こぼれ出す                            矢太
破蓮(やれはす)や 八幡宮の 源氏池                      弥生
孫生(ひこば)えの 銀杏の細さや 七○○年               鬼禿
行く秋や 古都一隅の 展覧会                               孝多

                                         (以上10名40句 )

nice!(1)  コメント(1) 

nice! 1

コメント 1

水野タケシ

孝多先生、臨場感あふれる吟行リポートありがとうございます!!

ベスカバさんでの俳句談義が、また愉しそう!!ヵコ(*゚∀゚)bィ-ィ
by 水野タケシ (2018-11-01 04:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。